世界はそれを家電と呼ぶ3

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「欲しいの?それなら今日も私を満足させてよ。無理ならかまわない。私の心の扉は閉ざされたままなだけ」 陰鬱な空気を漂わす、クールビューティの名を欲しいままにしている長い髪の少女の姿のそれは言った。膝を抱えて座り込んでいる。俺が声をかけると顔だけこちらを向いてくれた。 「所詮他人が私の心を開けることは出来ない。それともあなたは出来るの?ただの偽善なら止めなさい。他人に入り込めばそこに大なり小なりの責任が生まれるのだから」 何かを諦めたかのような力ない声。けど瞳は俺に何かを期待するように、気のせいかも知れないけどそんな色を見せている気がした。 普段なら俺は無視をしているかも知れない。ウザイと思いながら立ち去るのかも知れない。けど、それは出来ない。ここで逃げれば俺の願いが消え去る……だから…… 俺は真剣な顔をしたまま口を開く。彼女の期待に応えるように口を開く。 「俺の趣味は名探偵コ●ンを読んで、どこぞの名探偵よりも先に推理してほくそ笑み、ツイッターで俺の天才ぶりをナルシーに呟くことだ」 「ブホッ!」 クールビューティなはずの少女が激しく吹き出した。ブホッとか言いやがりました。立ち上がり、目に涙を浮かべる程に笑いを堪えながら、肩をバンバン叩いては、グッジョブサインを出してきた。 どこからか取り出した物を彼女は俺に渡す。俺の手には冷たい缶コーヒーが一つ。プシュッとプルを開けて一口飲んだ。 はあーー……なんというかね。正直あれだよ。 冷蔵庫から何か出す度に、ダジャレかなんか言わされるの疲れるんですけど! 幸いなのはまた膝を抱えて顔をうずめてプルプル震え、笑いをこらえている冷蔵庫ちゃんの笑いの沸点がめちゃめちゃ低いことだ。 まあ、どうでもいい話。 またつまらぬネタを言ってしまった…… 誰か、冷蔵庫を笑わせるネタを分けてくれ。切実なんで本当。
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