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余談だが、俺は他人の家の家電なんかは普通に家電に見える。炊飯器なら炊飯器、冷蔵庫なら冷蔵庫だし声も聞こえやしない。うちの家電でも全てが全て人っぽく見えるわけではないし、全ての声が聞こえるわけではない。正直自分自身でもいまいち分からない。
家電が人っぽく見えて困ったことなんて数え切れないが、高校生の一般男子として大変困ったことがある。まあ、目の前の両手ですっぽりと収まりそうな女の子なんだが。
自分の部屋で座り込み腕組みをする俺の顔を見ながら、女の子は酷く怯えた表情をする。
「や、やるんですか?」
「ああ」
「そんな……ああ、神様っ」
女の子が泣き出しそうになったが、やがて覚悟を決めたのか床に寝転がり、胸元を手で隠すようにしながら顔を俺から背けた。
「せめて……せめて、優しくして下さいまし……」
涙声の女の子を見て 俺は舌を噛んで死にたい気持ちになった。
「すんません。やっぱり止めときます」
女の子に土下座をしている俺なう。
「なっ……何故でございますか?私に魅力が足りないと言うのです?女の子にここまで言わせておいて……酷い」
「いやいやいや、違うから」
「以前のように胸を触られても我慢しますし、声も、声も抑えますから……触られても変な声を出さないよう我慢しますから捨てないで下さいまし……うぅ」
台詞だけ聞かれたら俺の鬼畜さが全開なんですけどね……俺はただ、ゲームがやりたいだけなんですけどね。普通に某携帯ゲーム機でモ●ハンがやりたいだけなんですけどね。
ちなみにさっきはゲーム機に土下座している俺がなうでした。
「さあ、遠慮などをせずに、わ、私を……うぅ……私の体を弄んで下さいまし……ただの遊びなんですから……うぅ」
「だから、そんな風に言われたら出来ないから」
「私のせいだと……?酷い。私という物がありながら、また私が悪いと言って、新田さん家のあの子と浮気する気なんでしょう?見ず知らずの人に私を売り払うんでしょう?酷い」
新田は俺の幼なじみの女の子、一度本体だけ交換して思う様ゲームをやったんだが、今ではそれをネタに鬼畜呼ばわりされる始末。気を遣って女の子に貸したんだけどな。
やればこれだし、やらなければこの通り……さて、男子諸君。俺はどうしたらいいんだろうね。何故ゲームをやるだけなのに、女の子の敵みたいなことになってるんだろうね。
はぁ……鬱だ。
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