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「トリの話、出てこねぇかなぁ…ほかのはどうでもいいし。」
「鳥、ですか…――出ると、いいですね。」
「せっかくだからさ、俺らも忘れないうちにニンゲンのこと知っておきたいんだけど。やっぱりこういうのはさー、自分ら優先っていうかさー。」
「我らが我らである為には、忘れぬように、何事も程々にしなければなりませんからね。…まぁ、それも1年ほど先までのことですが。」
「次、あるといいなぁ…」
「…まだ“移った”ばかりだと言うのに、そう先のことばかり考えていては、此処にいられなくなりますよ?」
「何言ってんの、先の話フッたのユリアじゃんか。」
「まぁ、そうなのですけれど。……――早目に探さなければなりませんしね。」
「ま、何事も早い方がいいよなぁ!今度適当にクラスの誰かに話フッてみっかなー。」
「…あまり、情を移さぬように。」
「それはどっちかってーとユリアに言えることなんじゃないのかー?」
「お互い様でしょう、そこは。」
「んー、まぁ『何事も程々に』、だよな~。」
エリオットさんは先程私の言った言葉を繰り返す。
…確かに、程々にしなければならないのは私の方だろう。
以前だって、過ちを犯したのは私の方だったのだし。
なんてことを考えながら、私とエリオットさんは二手に別れる。
教室に向かう私に彼は、背後からこう告げた。
「んじゃまぁ、お互い頑張ってこーぜ。」
「ええ。…とりあえず、貴方は授業で眠ってしまわぬように。」
そう私が声を掛けると、彼は『んだよ、ユリアまで先公みてーなこと言いやがって』と小声で愚痴りながら奥の理科教室へと入っていった。
私も別のクラスの扉を手に掛けて、ドアを開けようとした。
すると。
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