principio.

6/6
前へ
/6ページ
次へ
「それならば、もうだれも《精霊》さまの仰るような新しい世に生まれることは、できないのですね」 《いや、それはちがう。まだおまえは悪に染まってはいない。おまえだけならば、連れてゆくことができる》 「ならばわたしだけでも、連れていってください。それをあなたがお望みならば」 《もちろん。ほんとうは皆を連れて、行きたかったのだがな》 《精霊》はほんとうに、残念そうに言いました。 少女には、《精霊》が無慈悲なだけの存在ではないとわかりました。 そこで少女は、《精霊》に尋ねました。 「《精霊》さま。ひとつお願いがございます」 《村人たちの代わりに、おまえの望むものはかなえてやろう》 「では、わたしに翼をください。今度は地に堕ちることのないように、空へ高く飛べるように」 《よろしい、おまえには翼をやろう。お前の願ったとおりに、自由に空をめざせるように…》
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加