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「それならば、もうだれも《精霊》さまの仰るような新しい世に生まれることは、できないのですね」
《いや、それはちがう。まだおまえは悪に染まってはいない。おまえだけならば、連れてゆくことができる》
「ならばわたしだけでも、連れていってください。それをあなたがお望みならば」
《もちろん。ほんとうは皆を連れて、行きたかったのだがな》
《精霊》はほんとうに、残念そうに言いました。
少女には、《精霊》が無慈悲なだけの存在ではないとわかりました。
そこで少女は、《精霊》に尋ねました。
「《精霊》さま。ひとつお願いがございます」
《村人たちの代わりに、おまえの望むものはかなえてやろう》
「では、わたしに翼をください。今度は地に堕ちることのないように、空へ高く飛べるように」
《よろしい、おまえには翼をやろう。お前の願ったとおりに、自由に空をめざせるように…》
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