ヒヨの魂

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 トウヤは屋上でヒヨと会い、大した話もできなかったが、何度目かの逢瀬で、思い切って告白した。    そうしたらヒヨは、また寂しそうな顔をして、こう言った。  「私は死神だから、傍にいると不幸になるわ」    トウヤはその時、彼女がクラスで避けられていることを指しているのだと思った。  「それでもいい。グループからハブられても、ヒヨと一緒に居る幸せを選ぶ」    ヒヨは俯いてしまった。  「朝霧君、あなたは人間にとって最大の不幸は何だと思う?」  哲学的謎かけのようだ。  トウヤはしばらく考えて言った。  「やっぱボッチでいることだな。一人は寂しすぎる」  だから君と一緒にいたいんだ、と、遠回しに言ったつもりだった。    ヒヨは表情を変えず横を向き、フェンスに片手をかけて空を見る。  彼女の横顔は、神秘的で、憂いに満ちている。    トウヤは思わず、見とれてしまう。  何が彼女をここまで深く沈めたのだろう?  自分は彼女に比べ、何と言う底の浅い人間なのだろう。  彼女を見、自分の日頃の言動を振り返り、そんなことを思ってしまう。    彼女の底が見てみたい。  もっと彼女について知りたい。    「私はね、死ぬことだと思う」  死。  逃れられない運命。  全ての命のたどり着く場所。    「もしあなたが、私と一緒にいて、死ぬことになっても構わないというのなら、付き合いましょう」  ヒヨは今度はしっかりとトウヤの目を見た。    「よし、じゃあオッケーだな。俺と青井は、今日から恋人だ」  即断だった。    「青井が冗談で言ってるんじゃないことはわかる。だが俺も冗談で告白している訳じゃない。俺は例え死ぬことになっても青井と一緒にいる。それが俺の覚悟だ」    ヒヨは唇に指を当ててくすりと笑った。
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