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「私は死神だから」
あれは自分を嫌われ者と揶揄しての言葉だと思っていたが。
なぜヒヨが死神なのか。
「正面切ってそんなこと言われたの、お兄ちゃん以来だな」
ヒヨの兄ってどんな人なんだ?
「正確には、空の向こう。宇宙」
なぜ時々、空を見つめているんだ。
「……」
トウヤはすっかり冷静さを取り戻していた。
しかし代わりに、自己嫌悪に陥ってしまっていた。
はしゃいでいた自分が馬鹿みたいで。
俺はヒヨの恋人である。
だがヒヨの事は何も知らない。
普段どんな本を好んで読んでいるのかさえも。
「はは……」
自嘲的な笑いが零れた。
トウヤは昼休みが終わる前にヒヨを起こした。
「何もしてないから安心して」
「…。トウヤ君、少し疲れてる?」
ヒヨはトウヤの様子がおかしいことに気づいたようだが、トウヤが何でもないと言うと、それ以上は何も言ってこなかった。
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