ヒヨの魂

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 ***  「うーむ…」  トウヤは、シンヤの部屋で、銀河鉄道の夜を読んでいた。    「あのさ、トウヤ、漫画読むなら自分の部屋で…って」  シンヤはトウヤが読んでいる本の表紙を見て驚く。  「トウヤが小説読んでる。正気なの?今更インテリぶろうとしても見苦しいだけだよ」  (もう少しソフトな言い方はないのか?)    「違うって。少しでもヒヨを理解したいんだよ」  「ははぁーん」  なるほどと言いたげに、シンヤはにやつく。    「言っておくが今回はマジだから、あまり兄をからかうなよ」  「ほどほどにしとくよ。で、首尾はどう?」  「文体が古すぎて、読みにくい。普段小説なんて読まないから、尚更きつい」  「頭使いすぎて熱出さないでね」  こいつ、舌の根も乾かぬうちに。    今日はシンヤの毒舌も長く続かず、二人無言で本を読む。  と、玄関からガタガタと音がした。  リュウジが帰ってきたようだ。
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