12人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「うーむ…」
トウヤは、シンヤの部屋で、銀河鉄道の夜を読んでいた。
「あのさ、トウヤ、漫画読むなら自分の部屋で…って」
シンヤはトウヤが読んでいる本の表紙を見て驚く。
「トウヤが小説読んでる。正気なの?今更インテリぶろうとしても見苦しいだけだよ」
(もう少しソフトな言い方はないのか?)
「違うって。少しでもヒヨを理解したいんだよ」
「ははぁーん」
なるほどと言いたげに、シンヤはにやつく。
「言っておくが今回はマジだから、あまり兄をからかうなよ」
「ほどほどにしとくよ。で、首尾はどう?」
「文体が古すぎて、読みにくい。普段小説なんて読まないから、尚更きつい」
「頭使いすぎて熱出さないでね」
こいつ、舌の根も乾かぬうちに。
今日はシンヤの毒舌も長く続かず、二人無言で本を読む。
と、玄関からガタガタと音がした。
リュウジが帰ってきたようだ。
最初のコメントを投稿しよう!