ヒヨの魂

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 ***  学校の屋上。  日が落ちて、町には夜の帳が降り始める頃。  空は藍色に染まり、夜の始まりを告げていた。  トウヤは、ヒヨに呼び出されて、ここに来ていた。    「屋上か…ヒヨに告白したのも、ここだったんだよな」    本を読むヒヨ。  そんなヒヨを見るトウヤ。  何気ない時間が、今は愛おしい。   ヒヨと別れればもう、そんな何気ない日常すらもなくなってしまうのだから。  (ヒヨと屋上で初めて出会った日、俺が屋上に来なければ、俺がヒヨと恋仲になることは永遠になかったかもしれない)  「トウヤ君、来てくれてありがとう」  ヒヨは手を後ろで組み、フェンスに背中をもたれかけさせていた。  「夜の学校って少し不気味だな。もちろん俺はヒヨがいる場所ならどこでも良いんだけど」  そう言ってトウヤは笑う。  努めて明るく振舞おうという意思が見える。  ヒヨが何を言おうとしているのかは、わかっているから。  「トウヤ君。トウヤ君は、私のどんな所が好き?」
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