ヒヨの魂

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 ヒヨはいつも通りの表情である。  彼女も、彼女なりに、自分を保とうとしているのだ。    「それは、最初は可愛いってことで気になってたけど、ヒヨの感情の奥深さに触れて、ヒヨをもっと知りたいって思った。他のどんな生徒とも違う魅力が、ヒヨにはあるから」    トウヤはヒヨに正直な気持ちを伝える。  教養や気品では到底ヒヨに敵わない自分にできるのは、正直に、彼女を愛すること。彼女の本当の姿を知ること、だとトウヤは思っていた。    「私はね、トウヤ君の真っ直ぐさが好きだった。呪縛に囚われた私に、人を避けていた私に、物怖じしないで、傍にいてくれた。いつかあなたなら、私の呪縛を解いてくれるかもしれない、そう思った」  ヒヨは変わらずに感情を込めず、淡々と話す。    「解くさ。必ず解いてみせる」  力強く断定する。    「でもね、もう、いいの。もうすぐ迎えが来るから。ほら、聞こえるでしょう」    ゴッゴッゴッ…。  彼方から聞こえてくる駆動音。    その濃いブルーの汽車は、次第にトウヤ達のいる屋上へと近づき、フェンスの外側付近に寄り添うように止まった。  一列に並んだ窓は赤く宝石のように輝き、よく見るとその中には、子供や大人や、様々な人々が、楽しげに何かを話したりしているのだった。    (これは現実か、ヒヨの見ている夢なのか?)
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