12人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうと決まれば」
フェルとマルグリットは扉を開けて旅人に相対する。
「初めまして、フェルと申します。話は執事から聞きましたわ。大変でしたわね」
「ああ、そうなんです。ブリュージュに行こうと思ったのに、どうも僕は方向音痴で」
「あらあら、大変。こんなに暗くなっているのに、町まで行くのは大変ですわ。あ、私は妹のマルグリットと申します」
ぺこりと可愛らしいおじぎ。
「丁寧にどうも。ところで君たち、お母さんとお父さんはいないのかい」
「ここには私たち姉妹と執事しかいなくてよ。でもご安心下さい。私たちはこれでも立派な淑女ですの。あなたを歓迎致しますわ」
「そうですか。まあとにかく、ありがたい。お世話になります」
そして青年は姉妹について、城内へと足を踏み入れた……。
最初のコメントを投稿しよう!