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ヒヨの顔が真正面にある。
(やはり可愛い)
トウヤのような凡百の男子高生には、まるで手の届かぬダイヤモンドのように、彼女が輝いて見えた。
(直視できない。というか女子の顔を直視したことなんて、家族以外ほとんどねーよ。凡百男子高生なめんな)
気恥ずかしさのあまりトウヤは顔を逸らす。
「あ、あのさ…」
頬が紅に染まっているのは、黄昏のせい。
「……」
「いつも何、見てるんだ?」
勢いで告白すれば良かっただろうか。
ついて出たのは、そんな言葉。
「空…」
意外にもヒヨはすぐに答えてくれた。
(そら…うん、そうだよな。別にUFOが見えるとか、飛んでる幽霊が見えるとかじゃないんだよな)
「そっか、空好きなのか?綺麗だもんな」
ヒヨはふるふると首を振った。
「正確には、空の向こう。宇宙」
(宇宙!?まさか、電波でも受信してたのだろうか)
トウヤは彼女が何を言うのか、ハラハラしながら待った。
だがヒヨはその先を言わなかった。
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