111人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「…帰るぞ」
「うん…ありがとう」
小さく、呟くような声に、俺の表情が緩む。
そして、本当に心の底から安堵し、肩の力を抜いた。
「これからは、こんな時間に家を飛び出すな」
舞を見据え、釘を刺しておく。
こんな思いをするのは、もうたくさんだ。
「…ごめんなさい」
申し訳なさそうに謝る彼女を見て、どうにもたまらなくなる。
それを誤魔化すように、舞の頭を軽く撫でた。
「飛び出す前に電話しろ」
「斎…」
「そして、それでも飛び出してしまったのなら…」
「…」
もう夜の公園は勘弁してくれ。
「俺のところへ来い」
「斎…?」
「もしくは友達の家とか…。遅い時間に公園とかは、もうなしだ」
舞は大きく頷く。そして、頭を下げた。
「心配させて…ごめん。これから、気をつけるから」
「あぁ、そうしてくれ」
「…えっと、斎」
何か言いづらそうにする舞を、訝し気に見遣る。
「どうした?まだ何かあるのか?」
「…そういう訳じゃなくて」
「…」
彼女は、スッと手を差し出した。
最初のコメントを投稿しよう!