さよなら

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「私、名前が嫌いなの。なんていうか、平凡というか安直過ぎてどうにも愛せなくって」 「二年になって初めて知ったんだ……君の下の名前」 「あ、苗字は知ってたよ。本の貸出カードに書いてあったから」 「――君が自分の名前嫌いなんだってわかった時ね。この人も私と同じだったんだーって……そう思っちゃった」 「迷惑だったらごめん。でも、そう思ったから」 「ごめんね、一度くらいは名前呼んでみたかったけどね、ただ……」 ――呼ぶ勇気が無かったんだ。  告げられた言葉が重く圧し掛かった。  でも僕は、ちーちゃんだけは許してあげれたんだと思う。  だって、僕らは 「ねえ、私達ってさ」  ちーちゃんが問いかける。
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