ちーちゃん

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 だから、高校二年で選択教科の数学Bが一緒のクラスになったとき、僕は飛び跳ねるくらい喜んだ。ちーちゃんと会える時間が増えたことが嬉しくてしようがなかった。  ちーちゃんが「数学は嫌い」といった時、僕は「分からなかったら聞けばいい」と言った。  それからちーちゃんは授業が終わるたびに、僕に質問するような習慣が出来た。もちろん僕にも理解できないものは先生に聞きに行っていた。 「数列ってなんで数が増えてくんだろうね。そんなに大きくならなくてもいいのに」  いや、増えてくだけじゃないけどな。減る時もあるけどな。  ちーちゃんはいつものように僕に話しかける。でも、その目線が少したかくなっていることを僕は気が付いていた。 「ちーちゃん、背、伸びた?」  僕が問いかけると、ちーちゃんは恥ずかしそうにこういった。 「うん。一年の時より6センチ伸びた。今、私の成長期なのかも。そっちは」 「3」ミリしか伸びなかった。 「追いついたらどうしよう」  それは想像しただけで悲しすぎるだろ。 「やめろよ。女に抜かされたら、さすがに泣くよ」 「いや、私以外の子には結構抜かされてるんじゃない? 3組の笹川さんとか」    痛いところを突かれた。 「卒業時には追い越すからいいんだよ」   そんなたわいも無い話が続いた。  この頃からか、ちーちゃんは小さい子を卒業していた。  当初の長い髪は二年に上がるときにバッサリ切られており。青いリボンもいつの間にかオレンジ色のピンどめに変わった。
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