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ケンゴは恍惚とした表情で両手を口元で広げて、よく分からないポージングを決めた。
「……あれは、神の食べ物……。
日本から来た俺が。
それを口にした時に何故か我が祖国、ジャポネを思い出したんだ。あれはきっと、世界の誰が食べても、故郷を思い出す味なんだ」
うぜえ上にキモチわりぃ。
しかし、そこまで言われるとその料理がなんなのか、気になった。
「それ、どんな料理だったの」
「料理うんぬんじゃない。あれは素材がいいんだ。
なんか、高い味がした。透明な、なんか高級っぽいソースだかドレッシングだかが白い身にかかってて、なんか、食って、うおってなって、ははあーってなって、なんかすげーんだ」
一気にケンゴの説明が馬鹿っぽくなった。
「結局よく分かってねえじゃん。
よく考えたらお前、味オンチだよな。前にぶた肉食って“この牛肉マジヤベェ”って言ったよな?」
「その時の俺はもういない!
でも、ま……日本から出られないタケシにいくら話しても、無意味だよな……アーハン」
……ケンゴの癖に、腹立たしい。
だから、旅に出た。
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