①オレ、成田光輝。

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ここの學園は小中高と一貫教育だけど、 わりと編入生も多い。 スポーツ待遇だったり、帰国子女だったり、 ある一定の条件がクリアすると、 編入試験が受けられる。 オレも中等部の時に試験を受けての編入組。 1学年5クラスあって、今のオレの試験の学年順位は50から60位を行ったり来たり… たまに赤点があったりするんだけど… それでも悪いほうじゃない筈なんだけど、なんたって友達がみんな頭がいいから困っちゃうよ。 学年トップを争う友達と憧れの人… オレは、この學園の中でも人気の部活、 弓道部に所属しているけど… まだ1度も試合には出れた事が無い。 でも 弓道部を高等部卒業まで続けるって事も編入の条件に入っているから辞める訳にはいかないんだけどね。 弓道部でレギュラーになるのはほんと大変で、3年生でさえ、試合に出れない部員がいっぱいいる中で… オレが出れないのも、まぁ仕方ないな…って思うけどね。 でも 1年でレギュラーって凄いヤツもいる。 それはそれは…綺麗なヤツでオレの憧れの人。 近付きたいけど、その綾瀬の近くに行こうとすると、 「こら、成田 お前はこっちだろ」 ほらね、 この先輩、すぐにオレを呼び止める。 可愛がってくれるのは嬉しいんだけどさ… なんか下心ありありで… でも、こんなに沢山部員も居るし、普通じゃなかなか的を使った練習なんて出来やしない、でも先輩に可愛がられてると、ちょっとだけ優先的に的前に入れてもらえるから悪い事ばかりじゃない。 横目に憧れの綾瀬を見ながらの練習… 立ち姿が綺麗だから真似る。 足を開き胸を張る… すると先輩がオレの後ろに立ち、 「成田、肩が前に倒れ過ぎだろ」 って言って触るんだ… 「足はもう少し、閉じろ」 って言って腿をさり気なく触る…
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