幼き日

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戻れるものなら、何も知らなかったあの日に戻りたい。透き通ったあの白砂の浜辺へ…… 波が引けば、子供達には広すぎる程の浜辺で、姉達を追って走り回り、貝を見つけては大喜びしたものだ。母方の祖母がたまに季節の果物や野菜お菓子を携えて私達を喜ばせてくれたものだ。懐かしい… しかし、あの行事が無ければこんな私にはなっていなかったかもしれない。私の家は本家であった為に、盆正月と親戚連中が集まる。引っ込み思案なわたしは、姉達のように対応出来ない…というか逃げ出してしまいたい気持ちでいっぱいで目の前にある料理にさえ箸をつけられなかった。何の集まりだったかはわすれたが、納戸の隅に隠れた私は、父に怒られながら抵抗してボロボロの服のまま親戚連中の目の前にすわらされ泣いた。
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