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「先輩のことずっと好きでした! 私と付き合ってください! そばにいさせてください!」
「……もう一回言って」
「え?」
「だからもう一回」
「えっと、あの……。私、1年4組の大野玲奈(オオノ レナ)です。先輩のこと、ずっと好きでした……」
「もう一回」
……何、この羞恥プレイ。
放課後、人通りの少ない体育館そばの広場で、憧れの先輩を前に、嫌な予感が頭の中を巡り始めていた。
だって、まさかこの距離で、聞こえていないというわけではないだろうし。となると、これって……。
私が少し考え込んでいるとまた声が聞こえた。
「聞こえてる? もう一回」
聞こえてるか聞きたいのはこっちのほうなのに。
「好きです、先輩が。付き合ってください……」
もう弱々しい声しか出てこない。恐る恐る先輩を見ると、彼の目は閉じていた。そしてそのまま「もう一回」と冷たく言い放った。
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