0.告白

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これは、やっぱりそういうことなんだろう。 悲しい気持ちでいっぱいになって、私は心の中で力のないため息をついた。 確かにいきなり呼び出して告白した私も良くなかったかもしれないけど、断るにしても、もっといい断り方はないのかな。先輩にとっては、いつもみたいに知らない後輩がいきなり告白してきた程度のことかもしれないけど、でも私には大変なことだった。 ずっと悩んだ末に一大決心してやっとできた告白だったのに。こんなふうにからかうなんて、あんまりだ。先輩がこんな人だったなんて。 初めての告白をこんな風に馬鹿にされた悲しさとやりきれなさに涙が出そうだった。 「すみません。もういいです。いきなり変なこと言ってすみませんでした」 もうここにいたくない、そう思って後ろを向いて逃げ去ろうとしたとき、「ちょっと待って」と声が聞こえた。 「返事、まだ言ってない」 そんなのもうさっきので十分なのに。これ以上、嫌な気持ちになりたくない。
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