134人が本棚に入れています
本棚に追加
「すみません。もういいんです」
「なんで謝んの? いいよ、そばにいて」
「へ?」
予想外の言葉に、涙ではなく変な声が出てしまった。
「いや、だから、さっきのって告白なんだよね? 答え、OKってこと」
「え、なんで、そんな……」
驚きと動揺でうまく言葉が出てこない。暑さのせいではなく、変な汗が出る。からかわれているのかなんなのか、わけが分からない。
「ただ、ちょっと条件があるんだけど。それでよかったら俺と付き合ってほしい」
先輩に「付き合ってほしい」って言われるなんて!
何これ、夢? 奇跡? でも……。
「あの、条件って?」
躊躇いがちに尋ねる私を見て、先輩は小さく頷く。まっすぐ向けられたその目は真剣で、私はゴクリと息を飲んだ。
「あぁ、実は……」
まだ暑さの残る9月、私達のお付き合いはこうして始まったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!