ばーちゃんのスイカ

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長方形のお盆に三角のスイカがずらりと並ぶ。ゴクンと喉が鳴ったけど、まだ食べない。約束があるからだ。 「ばーちゃん、さちが持つ!」 ばーちゃんが収穫したもう1個を、胸元に抱えて仏間に向かった。仏壇にはお菓子やビール、色々なお供え物が置かれている。本当は真ん中に置きたかったけど、"芋タルト"の左隣に静かに置いた。 真ん前の座布団に座ったばーちゃんは、1センチほどの可愛いローソクに火をつけ線香を近づける。炎は上に向かって大きくなり、数秒後また小さくなった。紫色の線香の先は朱色の光と白い煙。いつもと違う花の匂いがした。 チン――チン―― 鐘が鳴ったタイミングで掌を合わせて少し頭をさげる。 ”じーちゃん、今年はばーちゃん一人でスイカ作ったよ。じーちゃんのスイカも上手に出来た?” 私はばーちゃんから聞いた話を信じていた。じーちゃんも天国でスイカを作っていると……。 顔を上げると、髪の黒いじーちゃんが小さい写真の中で笑っていた。ばーちゃんはまだ拝んでいる。立てた線香の先には、灰色の燃えかすが伸びていた。
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