ばーちゃんのスイカ

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ベタついた手を洗いに流しに行くと、ウサギの絵皿には、黄身がつぶれた目玉焼きが乗っていた。 夜勤業務のあるおかあさんの代わりにばーちゃんが作ってくれたんだと思うけど、スイカで満腹になった私は朝御飯を食べられそうにない。どうしよう・・・と思いながらばーちゃんに訊ねた。 「ばーちゃーん!これ、さちのー?」 居間に向かって声を張り上げると、残骸の入った四角いお盆を持って台所に来たばーちゃんは、私の問いに答えることなく、冷蔵庫に仕舞った半分をお向かいさんにお裾分けに行こう、と微笑った。 「おばちゃんゲンと散歩してたよ。あっ、後で仏壇にお参りに来るって言ってた!」 「ほお、来るとき会ったんか?お向かいさん、じーの命日覚えてくれてたんなぁ。さち、ちゃんとおはよう言えたか?」 どうだっけ?と思い返したけどよく覚えていなかった。だから私は自信たっぷりにこう答えた。 「おばちゃんとゲンにちゃんとバイバイ言ってきたよ!」 「おお、上出来上出来」 ばーちゃんは私が止めたばかりの水道を捻ると、手を洗いながらニッコリと何度も頷いた。
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