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チン――チン―――
日中も少し薄暗い部屋に甲高い鐘の音が余韻を保ちながら響く。
手を合わせた先には不規則な動きの煙とゆらゆら揺れる小さい炎。
写真たての中の老夫婦は私が知ってるより若い。二人は寄り添い満面の笑みで、黄白の小菊とお線香の香りが更に私を落ち着かせた。
真ん前に置かれたお供え物の中に緑と黒の縦じまの球体が懐かしい記憶を伝えてくる。
「おばあちゃん」
不意に口にした呼び名に、そう言えばあの頃は、"ばーちゃん" とか "ばあ"と呼んでいた事を思い出した。
「ふふっ…」
長旅でさっきまで少し張っていたお腹は緊張を緩めてくれたようで、私もホッと顔が綻ぶ。首にかけたタオルで額を拭うと、今年も暑い夏になりそうな予感がして写真に語りかけた。
「じーちゃん、ばーちゃん、今年もきっとスイカが美味しいね」
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