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走る歩くを繰返しながらたどり着いた私の家は、ごく一般的だと思うけど敷地はすごく広い。
向かって左はじーちゃんが大事にしていた庭で、反対側はその時すでにばーちゃん一人の畑だった。
赤、紫、緑、色んな種類の作物が、ところ狭しと行儀良く整列し、収穫を待っている。少し外れた所には、実をつけるにはまだ早い柿の木も植えられていた。
私は子供が苦手とされるピーマンやししとうだって大好きだ。網で炙って醤油をつけたら、その一品でご飯二膳は食べられる。
「ワハハハハ、さち、ソレばっか食うと顔が緑になるぞ!ハハハハ」
保育園に通ってる頃、ピーマンとししとうをむしゃむしゃ食べる私を誇らしげに見ながら、そう言ってじーちゃんはよくかまってきた。でも今日私を待っているのはソレじゃない。
「ただいまー!」
たどり着いた開けっ放しの引き戸。サンダルからもどかしく足を抜くと、台所で私を待っているばーちゃんにそう叫んだ。
走って来た足の重さも感じないほど、廊下を小走りする私の足は軽やかだった。
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