ゆかりの憂鬱!

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―久しぶりに京都に行かない。あの思い出の鴨川へ― 学生時代から仲良しの浅野理恵からメールが来た。 それを見たとたんゆかりの心臓がキュッと鳴った。 そこには・・二人だけの青春の秘密があった。 理恵とゆかりは同じ公立高校を出て同じ女子大学に進学した。 なんとなくうまが合い、大学でも同じスキー部に入った。 高校時代,ゆかりは違うクラスの男子とつきあっていた。 ゆかりの初恋だった。 胸がつまるくらい一生懸命だった。 高校二年の秋の修学旅行はゆかりにとって忘れられない青春のひとこまだった。 行き先は東京の公立高校の定番の京都、奈良の3泊4日。 二条城、修学院離宮、大原三千院、東大寺、法隆寺、・・・基本的なルートは決まっている。 魅力的なのは自由時間という設定だ。 といっても高校生が勝手に夜遅くまで街中を徘徊するのは学校としては許されない。 9時までという限定付きで複数の人数での外出が許可されるのだ。 ゆかりは理恵と他の友人二人で新京極にお土産を買いに行くといって外出許可をとった。 打ち合わせ通りゆかりと理恵は他の二人と途中で別れ、それぞれのボーイフレンドと 鴨川べりでデートした。 そして9時前に二人は他の友人二人と待ち合わせの新京極にある喫茶店に戻った。 そのときゆかりの顔がほてっていた。 理恵が 「どこまでいったの」 と聞いたとき、指で唇を指して誤魔化した。 実際はそれ以上の所まで進んだのだが。 ゆかりの初体験だった。 ゆかりはリビングでパソコンを開き、そんな事を思い出していた。 「ママ、お腹減った」 娘の沙織の声で我に返った。 ―子供が小さいし、旦那もいるからー 沙織におやつを上げると断りのメールを送った。 翌日理恵からメールの返信があった。 ―子供が大きくなったときにはおばあさんよ。それまでじっとしているのー
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