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保育園時代、世界には『年上』がなかった。
同級生だらけの世界で、私は生きてきたのだ。それに、あの時の私は男友達ばかりに囲まれていたように思う。が、今ではどうだろう。女性だけの世界に捨てられたような気さえした。一番年が少なく、地位もなく、女性だけの世界で生きるすべさえなかった。
そんな私がマンションという柵なく付き合えたのが、教室で隣の席に座っていた、サヤカちゃんだった。
サヤカちゃんは、丘の向こうのマンションの子であった。遠い向こうに住んでいたため、私はサヤカちゃんと遊ぶときは、サヤカちゃんの家の近くの公園で遊ぶようにもなり、次第に自分のマンションとの関わりも無くなった。あのイケずなお姉さんも地元中学に進学した。
お姉さんがいなくなった後は、マンションの同級生もイジメなくなって、段々愛想だけで話せるようにもなった。
未だにあのしきたりは残っていたので、近所のおばあさんに煙たがられたり、マンションの子らにくばられる児童会のお菓子を故意に渡されなかったりもしたが、流石に慣れてしまった。
私にはサヤカちゃんが居たから。それだけでは無かった。他にも多くの友達が出来、世界が広がり怖くなんかなかった。
また、世界を怖がるのは、もっとずっと先のことだった。
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