0人が本棚に入れています
本棚に追加
時は流れる。小学校1年の私ではなく、ここでは6年生の私。
二組に所属している、算数が得意なごく普通の子供。
親友というべき存在はサヤカ。でも、友達は増えていた。
まず、一組には4年生の時から仲の良い『ミホ』が、その他にもよく遊んだエミやリホもおり、最後の三組には5年生の時に出来た友達の大半が行ってしまった。
でも、二組にはサヤカが居た。
それにサヤカと仲が良いという女の子がいた。その女の子が自分をグリって呼んでねと言ったので、グリと呼んでいたが、本名は結構なキラキラネームだ。
ただ今は、あの時の私がグリを友達だと、一度でも思ったことが間違いだったような気さえする。今ではもう、彼女の本名なんて、思い出したくもない。
それでも、私が6年生の時、一緒に活動したのはサヤカとグリだった。
三人班はそれだったし、遠足も自由行動の際は三人でめぐった。
サヤカは中学校受験を控えており、週4回のペースで塾通いをしていた。そんな時は、他の子供とも遊んでいたが、グリと二人でカードゲームをしたりもしていた記憶がある。そして、その際グリは私に嫌がるようなことをしないし、むしろ優しかったような気がする。あの事件が起きる前までは。
あの事件、というほどのことでもなかった。けれども、アレが原因で私の中に亀裂が入ったように思う。実際あの事件は、大勢の人間が行ったが、被害も少なかった。先生だって咎めたりしていない。事件でないと言えばアレは事件でも何でもない。
――たった一人のわがまま。
で片付けられた。
『わがまま』とは、辞典では『相手のことを考えずに、自分の意見だけを通そうとしていること』や『甘え』を指す言葉だ。
私はこの言葉が嫌いだ。
この言葉で締めくくられることも、たった4文字が間違い以外の何物でもないことも。全部、全部、全部。まとめて嫌いだった。
結果だけ言っておく。
あの事件で起きたことは、全て『私のわがまま』ということになったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!