執筆活動の影で

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執筆活動の影で

「すいません……急用で辞めなきゃいけ なくなって……」 「まぁ仕方ねぇよ…親戚に呼ばれたんだろ?」 皆さんお元気ですか?僕はこの度、鳳監督の専属スタッフを引退することになりました。 本当はずっと鳳監督の作品を見ていたかったけど………色々と諸事情により続けるのが困難になったのだ。 「今まで有難う御座いました」 「おう?また来いよ」 「はい?」 本当に良い人達だ。変なおじさん天使以外。 「…やっぱショックだったんじゃねぇか?」 「何も…監督も考えてくれりゃ良かったのにな」 後ろでそんな会話がなされているとは露知らず、僕は荷物を片付ける。 「っあ」 荷物を片付けている最中に携帯画面が目に入る。 “鳳監督!新たな挑戦かっ!?” 「あの時の………………」 そっと携帯画面から鳳 瀧呀と言う検索ワードを削除する。 「……今まで……有難う…御座いました……」 涙が視界を濡らす。 止めどなく溢れるこの空虚感を僕は一生忘れないだろう。
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