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「マリウスさん!!」
動けなくなっていたマリウスと、刃物を振り下ろそうとしていたマリウスとそっくりな少女の間に入り混み、マリウスを庇うように飛びつく。
少し刃先が肩口に傷を付けたが、かすり傷だ。問題無い。
そのまま、不意打ちを取った形で少女からマリウスを引き離す。
俊敏さを活かし、泉はそのまま培養槽の後ろにマリウスを隠す。
少女に居場所を悟られないようになるべく声を抑えつつ、泉はマリウスの両肩を包みつつ声を掛ける。
「マリウスさん、俺が分かりますか?」
「い、っくん…?」
「はい、ご無事でしたか」
泉はマリウスの反応にホッとした表情を浮かべつつ、「怪我したところはありませんか?」と続ける。それにマリウスは首肯するだけだった。
「少し興奮しているみたいですね、深呼吸してみてください」
言われたとおり、マリウスは何度か大きく息を吸い、吐くを繰り返す。
時間が経ったことにより、能力による制限が解けてきたのか、マリウスは自分の身体が動けるようになるのを感じつつ、目の前に居る仲間の姿にホッとする。
…少なからず、先程までは冷静な精神状態では無かった。
「いっくん、あのね、ぼく、あの子と兄弟みたい。…ここで生まれたみたいなんだ」
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