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(確かに、熱くなりすぎていたのかもしれない)
自分がやっていた事は完全に自己満足であり、マリウスさんの許可も何も得ずに動いていた。それでも、彼の無くした記憶、両親と共にした過去を返してあげたかった。
だが、今はどうだろうか?
「泉さ、もう少しマリウスを信じてやってくれねえか?」
「俺が、マリウスさんを…?」
「いや、まあ信じているんだろうけどさ。お前、優しいし、マリウスより年上だから色々考える所もあるんだろう」
「だからこそ、マリウスがやりたいようにしてるのを身守ってやってくれねえか。お前が関わっていいのは、猟犬としての領分をマリウスが忘れた時だけだ。その時は諫めてくれ」
真っ直ぐ、翡翠色の隻眼に射貫かれる。泉は何も言えず、視線を落とす。
「大丈夫、マリウスも一人前の男だ」
見た目はそう見えないけどな、と付け加えた言葉に思わず吹き出してしまう。
―そうか、俺は…
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