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俺がハンカチを拾ったのを見て、ミハイさんが狼狽して俺の手からハンカチを奪い取った。
「ならんぞ、泉実!おまえの手が汚れる!」
地面に投げ捨ててハンカチを汚したのはおまえだ、吸血鬼。
「私と揃いのものがほしいのなら、一言言ってくれればよいのだ。うむ、明日にでも1ダースほど届けさせよう。」
いらん。
心の底からいらん。
「結構です。お気持ちだけありがたく受け取っておきます。」
「そのように慎ましやかにしなくても!」
本気でいらん。
「早く中に入りなさいよねー。邪魔だわ!」
「そんな布っ切れ、泉実さんはいらないってさー。やーい。」
「やかましい!野良どもが!」
店内に入る前に、言い争うお客さんたち。
大国さんが来る前から、これ。
仲がいいのか悪いのか、ちっともわからない。
とにかく、外で騒ぐな、近所迷惑。
「皆さん、店内にどうぞ。暖簾掛けましたから開店です。」
そう声を掛けたら、最初に誰が入るかで揉める。
今夜のお客さんたち、いつも以上に好戦的な気がするぞ。
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