三夜

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目の回りが黒ずんでいるのは、隈だろうか。 ホームレスまではいかないにしても、かなりの困りごとを抱えていそうな人だなあ。 ああ、でも、体型はふくよかというか、それ以上にぽっちゃりしていると言った方が合っているので、お金がなくて食事に困っているということはないんだよなあ。 そんな風に思っていると、俺と目を合わせていた男が、ふらりと動いた。 あ、帰るのかなと思ったら、そのまま道路の方へ。 「危ない!!」 俺は、咄嗟に男にかけよって腕を掴んだ。 目の前で自殺か!?冗談じゃない!! 俺に引きずられるように連れ戻された男の抵抗は、思ったより少なかった。 だから、そのときは「引き留められてよかった」としか思わなかったんだが。
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