23520人が本棚に入れています
本棚に追加
「何をしているんですか。危ないです!死ぬ気ですか!?」
目の回りの黒い男は、ぼーっと俺を見た。
「死ぬ気・・・そうなんです、私ゃもう、生きていたって仕方ないんです。」
「仕方ないなんてことはないでしょう。しっかりしてください。」
「いやいや・・・もう、何もかも・・・」
押し問答のように会話しながら、俺は内心「うん?」と思った。
なだめようとする俺に対し、さっきから「生きていても仕方がない」と言いつつ、動かない男。
もう俺は腕をつかんでいる訳ではない。
だから、本気で死のうとしているなら、俺を突き飛ばしてでも道路に躍り出るんじゃないだろうか。
もちろん、そんなことを目の前でしてもらいたいわけじゃないが。
もしかして・・・俺と目が合ったから?
本気で死にたいわけじゃなく、こうやって誰かと話をして自分のことを聞いてもらいたかった?
最初のコメントを投稿しよう!