23519人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、えーと、ちょうど付きだしを作ったところですし、ご飯が炊けているのでお茶漬けでよければすぐに。」
「すいません、それと、その、ビー・・・」
「ビー・・・?」
「・・・水をもう1杯。」
今、言い掛けたのはビールか?ビールなのか?
まあいい、喉が乾いているってことでスルーしておこう。
俺が2杯目の水を注ぐと、田貫さんがぽつりぽつりと話し始めた。
田舎から出てきて、こちらで会社勤めをして、結婚したところから始まり。
ローンを組んで自宅を購入、存命だった母親を呼び寄せたところ。
妻の浮気が発覚、離婚調停の最中に通勤途中の電車で痴漢容疑を掛けられ(これは冤罪だと言い張る)、業績悪化してきた会社からリストラされ、母親はガンで入院。
俺が少しでも詳しく聞こうとすると、そこに被せるかのように別の不運な話をしてくる。
怒濤のような不運の連続の告白なんだが・・・本当なんだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!