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午後9時。
今夜も、古い店の木の戸の前に、暖簾が掛かる。
藍染の暖簾に、真っ白い「○」が一つ。
それが店名。
ここは、居酒屋まる。
どこにでもありそうで、どこにもない店。
店の前の止まり木に、開店とともにどこからともなくやってくる一羽の烏。
よく見ると、脚が3本あるその烏は、ヤタガラス。
神の遣いである。
店主や客からは、「ヤタ」と呼ばれて親しまれている。
暖簾の「○」とヤタガラス。
それが、目印だ。
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