一夜

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「あんたと違って、和佐は気遣いってもんができるのよ!自分が家を空けるときは、自由に泉実ちゃんとこに来ていいことになってんの!」 珠美さんの方が先にここの常連だったということもあり、今では相原さんも立派なここの常連。 とはいえ、社長をしているから、付き合いで飲み歩くことも多いらしく、相原さん自身は最近なかなか来ていただけない。 俺と同じく普通の人間で、でもここのお客さんたちに理解を示してくれる懐の深い人だ。 そう、この店のお客さんは、半数以上、もしかしたら8割、いや、9割近くが人間じゃない人たちで占められている。 どうしてこうなったんだろう。 人間相手には全然やっていけていないが、人間じゃない人たちが毎回それなりの額や料金以上のものを置いていってくれるので、この店は閉店に追い込まれずにすんでいるようなものなのである。
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