一夜

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「泉実さん!俺、肉と肉とビールね!!」 これもまた、木戸のいつもの注文。 自称狼男の木戸は、大の肉好きだ。 珠美さんが生魚を好むように、木戸は生肉を好んでいる。 しかし刺身じゃあるまいし、さすがに生のままでどうぞってわけにはいかない。 「木戸さん。今日は、ホルモンを味噌だれにつけたものをご用意できますよ。ご自分で焼きますか?それとも俺が・・・」 「俺!俺、やる!」 きっと、さっと炙る程度で、半分以上生のものを食べるに違いない。 俺は、木戸の前のカウンターテーブルの上に、一人用の七輪を出した。 網を乗せて、ホルモンを出す。 「こちらから、豚の小腸と大「内臓!栄養あるんだよね!」」 そりゃあ内臓は内臓だが。 俺の説明もそこそこに、木戸はホルモンを焼き始めた。 うーん、この肉と脂の匂い、美味そうだ。
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