二夜

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「迷惑だと思うがしばらく弁当を届けさせてくれって言われちゃあ、こっちだって鬼じゃあねえ。しかも、どうにか克服しようってぇあんな娘っ子が頑張ってんだ。応援してやんのが、大人ってもんだろう?」 それで、かすみさんは通いやすくなったらしいが。 「まあ、あの嬢ちゃんを応援すんのと、その嬢ちゃんと付き合ってるあのバカをやっかむのは、別ってこった。」 棟梁の下にいる人たちは、みんな気っぷのいい人たちだから、かすみさんのことは心の中で応援しつつ、そっとしておいてくれる。 だが、それでもあんな若い女の子に尽くしてもらっている木戸のことは、どうしてもからかってしまうと。 そういうことか。 「それとな、うちの若いのが一人、今度俺の知り合いんとこに行くことになってよ。」 特にそいつが木戸にきつくあたってやがる、と棟梁は苦笑いを浮かべた。
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