二夜

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それで。 「ええと。本物の亀・・・ということなんでしょうか。」 俺が聞きたかったのは、妖怪とかではなく、普通の、というとおかしいかもしれないが、ようするに動物の、という意味だ。 動物と言っても、こうやって人の姿になっているってことは、珠美さんみたいに長く生きて、猫又ならぬ亀又になっているんじゃないかと。 「あー・・・んー・・・そぉぉーですねー。」 この話し方! 亀かどうかを答えてもらうのに、何分かかるんだろう。 ええと、答えを待っている間に、木戸にもう一品肉料理を作ってもいいかな。 「亀ーでーすなー、兎さんとー、走りーまーすー。」 ・・・兎・・・はっ! 兎と亀か!あの話か! 亀のことをのろいと言った兎と駆け比べをして、油断して昼寝をした兎を追い抜いて勝った亀・・・あの亀か!! 亀野さんは、妖怪じゃなかったが、普通の動物の亀でもなかった。
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