二夜

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「こっちの店主さんも、奥の強そうな兄ちゃんも、おまえさんのことを心配してんじゃねえのかい?そんなこともわからねえ脳味噌なら、いっぺん頭ん中から引きずり直して、そこいらのどぶ川で洗ってきやがれってんだ!」 「聞き捨てならん!何故私が野良犬ごときを案じねばならんのだ!!」 今度は、ミハイさんが気色ばんで立ち上がった。 こ、これはまずい!今、木戸も頭に血が上って・・・ 「と、と、棟梁みたいだぁぁぁぁぁぁ!!」 呆然としていた木戸が、椅子から滑り落ちるようにその場にへなへなと膝をついた。 「き、木戸さん!?」 「俺を叱ってるときの、棟梁そっくりだぁ!!あああ!!ごめんなさい、棟梁!!」 いや、棟梁じゃないから。 亀の亀野さんだから。 膝をついたまま土下座するみたいに頭を下げた木戸に、またしても固まる俺とミハイさん。 なんなんだ、今夜は!!
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