二夜

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てか、棟梁、こんなに元気に威勢よく木戸を怒鳴り散らしてるのか。 そうか、うん、まあ、あの棟梁だもんな。 そういえば、棟梁、亀の根付けを買ってつけてたな。 もしや、その縁で・・・いやいや、根付けと亀野さんを一緒にはできないだろう。 にしても、まるで棟梁が乗り移ったかのようなべらんめぇ口調の亀野さんが来店するなんて。 木戸を叱り飛ばした亀野さんは、にゅうっと首を元に戻して、もっそりと木戸の頭を撫でた。 「てー感じでー、私らしーさーがー、なくなるーんでーすーよー。すみまーせーんーねー。」 「あああ!棟梁がどっかいっちゃった!」 いないから、初めから。 しっかりしろ、木戸、おまえの前にいるのは、亀だ。 それでも、すっかりおとなしくなった木戸は、亀野さん相手に、べそべそと職場での辛い状況を打ち明け始めた。 棟梁効果、すごいな!
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