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やがて、亀野さんに励まされながら、木戸がよろよろと立ち上がった。
「あ、ありがとう!俺、明日からまたのろのろと頑張るよ!」
待て。
「それーがー、一番ーでーすーねー。」
いや、のろのろがいいわけじゃないから、丁寧なのがいいだけだから。
しかも、狼が亀に慰められている図を実物で想像すると、非常に微妙だ。
あまり表情に出ない俺でも、変な顔をしていたかもしれない。
ミハイさんも、普段あまり見せない妙な表情で木戸と亀野さんを見ていた。
言葉にするとしたら・・得体のしれないものを見るような?
「泉実さん!俺、元気出てきた!亀野さんのビール、俺のおごりね!!」
いつからそんな気前よくなった、木戸。
「わあ!いつのまにか、肉が出てる!さすが泉実さん!」
すっかり冷えてしまったがな!
「大丈夫!肉は冷えても美味いから!本当は、ほんのりあったかいのが一番なんだけど!」
それは、仕留めたての獲物の体温とかじゃなかろうな。
木戸の中の野生の血が目覚めなければいいと思った。
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