二夜

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他にも、跳んだ先が崖だったり、着地と同時に蛇を踏んで文字通り絡まれたり。 どうにも亀野さんに勝てないらしい。 「わー、ついてないねー、その兎。でも、つい狩っちゃう鷹の気持ちも分かるなあ。」 木戸の頭の中は、兎=肉なんだな、そうなんだな? 「日頃の行いがよほど悪いのであろう。」 日頃の行いと言動に謎があるミハイさんが、自分のことを棚上げしたことをしれっと言い放つ。 「でも、兎だったら、泉実さんが料理しなくっても生の人参かじらせておけばいいんじゃないの?」 人がこれから料理をしようってときに実も蓋もないことを言うんじゃない、木戸。 それは、俺も少しは思ったがな! 「そーれーでもーいーいんでーすがー、たーまにーはー美味しーいお料理ーもー食べーさーせてーあげーよーうかーなーと。」 料理とは別に、生の人参も持っていきます、と亀野さんが付け足した。 ゆーっくりな口調で。
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