5人が本棚に入れています
本棚に追加
★
――ゆっくりと階段を下り切ったボクとおるこちゃん……
ボクたち二人は寄り添い合って手を繋いだまま一瞬だけ見つめ合うと、二人して夢心地に包まれつつ、ゆっくりと2年2組の教室へ入って行こうとしていた。
――ああ、すっごく不思議でたまらない。だってさ、こんな有り様の二人なのにさ、全然恥ずかしいって思わないんだよ。逆にさ、クラス全員に見せびらかしたい気持ちになっちゃってるボクだし……
そして、ボクと河鹿薫子、教室に入るや否や、
「やったぁー!! おめでとう!!」
なんて、クラスメイトたちから、全く予想外の拍手喝采をされてしまい、ボクは意図せず面喰らうしかない羽目に陥ってしまったのだった。
――え? 何だ、コリャ!? 昨日の今日で、クラスメイト達のボクに対するさ、この豹変ぶりって何なんだ!?
ボクは、今までのクラスメイト全員からのイジメ三昧の仕打から、この有り得ない突然の豹変ぶりに、どうしても憤慨をせずにはいられなかった。
――っていうか、あれ? おるこちゃん?
そんな有り様の中、突然に河鹿薫子は、カリスマ性が有り余る彼女特有の迫力満点なオーラを放ちつつ、彼女は教室内に居るクラスメイトの全員を見渡しながら、まだ担任の教師が来ていない教壇に向かって歩いて行ってしまったのだった。
「みんな、ちょっと聞いて!!」
――え? おるこちゃん、いきなり怒鳴っちゃってるし……
河鹿薫子は黒板を背にしながら教卓を蹴散らかす勢いでクラスメイト達の面前に仁王立ちしている。
――うわ……前々から何度も見て知ってるけど……今、たった今もさ、その凄い迫力かましまくりなおるこちゃんだし……
河鹿薫子は教室に居るクラスメイト全員に向かって、
「今日から浅間君はあたしのだから!! 浅間君にイジメとかしたら、あたし、絶対に許さないし!!」
なんて、教室の窓ガラスが共振しそうなくらいに大きな声で怒鳴り散らしたのだった。
――えぇー!? お馴染みの迫力をブチかましながらさ……おるこちゃん、ボクのことを『あたしのだから』とか断言しちゃってるし!!
★
最初のコメントを投稿しよう!