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――あれ? 誰もイジメに来ないや……
そう、今日に限ってクラスメイトたちからのイジメが皆無だったりする。
「クラスメイトたちからイジメられないなんて不思議で堪らなかったりするボクみたいな……」
――それに、朝一番からボクをイジメるはずのドSでキツイ河鹿薫子からのイジメも皆無だし……
「ニッチもサッチも、どうにも、もはや、不思議どころか摩訶不思議の極致炸裂中みたいな?」
「あ! 浅間君だわ! おはよう、あたしの浅間君! えへ、あは」
「ああ、そっか。そんなんだからさ、今日は朝から雨が土砂降りになったんだね」
――だってさ、昔からさ、珍しいことが起きると雨降るみたいに言われてるし……
そんな風にシミジミと思うくらい、毎日毎日、ボクにクラスメイトの先頭をきってイジメを与えていた河鹿薫子なのだった。
「いやん! おはよう、浅間君!」
――マジで? ホントの本当にさ、今日に限ってイジメをしようとしない河鹿薫子だし……まさか、これって、激鬼ヤバイ天変地異の前触れみたいな?
「いやん! おはようってば、浅間君ったら!」
――っていうか、色っぽい声色で『いやん』とかボクに向かって言ってるし……
「おはよう、おはよう! 浅間君、おはよう!」
――2年2組の教室に入り、ボクが自分の席に座った途端……
晴れやかな笑顔を満面に現しつつ遠目にボクを見ていた河鹿薫子は、突進するイノシシよろしく、辺りに居るクラスメイトを蹴散らし掻き分けながら、ボクが座っている席までやって来たのだった。
――んで、『おはよう、おはよう』繰り返し言っててウルサイし……
「浅間君ったら、浅間君ってば! おはようったら、おはようってば!」
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