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――ってかさ、そっちこそ、親の仇みたいにボクをイジメてたくせに……
「えっと、あの……どうしてさ、今日はボクをイジメないの?」
――まさかボクを『秋ちゃん』なんて馴れ馴れしく呼ぶとは夢にも思わなかったし……
「あのね、あのね……あたし、秋ちゃんを二度とイジメたりしないし……これからはあたしが秋ちゃんを守ってあげたいの」
――は? イジメない? 守ってあげたい?
「でね、あたし、秋ちゃんから守られたいの」
――へ? 守られたい? 相変わらず意味ワカンナイや……
「でもさ、あんなに毎日イジメまくったくせに?」
「だって、あたし……」
「腑抜けの根性無しなら登校拒否マッシグラなくらいにイジメまくったくせに? どうして急に? 腹立つくらいに全然意味ワカンナイし……オカシくない? 昨日の今日だよ? そんなにご都合主義みたいに掌ひっくり返しちゃってさ」
「だから、あたし、秋ちゃんのこと……」
「昨日の今日でさ、どうして急に豹変ブチかましちゃったの?」
「だって、だって!! あたし、秋ちゃんを好きになっちゃったから……」
――毎日毎日、意味不明な酷いイジメでボクを胃潰瘍にしたくせに!! 十二指腸潰瘍だって併発させられちゃったってのに!!
「信じて、お願い!! 信じて!! 大好きになっちゃったの!! 好きで好きで、大好きになっちゃって、秋ちゃんをあたし……」
「信じてって、はい? 長い間さ、好き放題、さんざんイジメにイジメまくったくせに? ボクは何を信じたらイイの?」
――腑抜けの根性無しならさ、間違いなく引きこもりだってやりかねない位の激しく醜いイジメをやらかしたくらいに!!
ボクは急に腹が立ち、思わず歯を食い縛りながら河鹿薫子を睨みつけてしまっていた。
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