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「ああーもう、参っちゃったなぁ……あのさ、秋ちゃんでイイよ」
「え? 浅間君?」
「ボクのことを秋ちゃんって呼びたいならさ、全然遠慮なんてしなくてイイよ」
「嘘うそウソ!? あたし、有り得ないくらい嬉しい!! 秋ちゃん、秋ちゃん、秋ちゃん!! 嬉しい、嬉しい、嬉しい!!」
「んでさ、ボクは河鹿さんを……おるこちゃんって呼ぶけど……イイ?」
「いやん!! あたし、メッチャ嬉しい!! もちろん、大歓迎だもん!!」
突然、河鹿薫子はボクにしがみつくように抱きついてきた。
――えぇー!? アンビリバボぉー!! 生まれて初めて女子から抱きつかれちゃったし、ニッチもサッチも、どうにも、驚き桃の木のビックリ炸裂ちゃんだし!!
「秋ちゃん、秋ちゃん、秋ちゃん……あたし、嬉しい、嬉しい、嬉しい……」
抱きつく河鹿薫子の顔はボクの胸の辺りにあり、彼女は意外と背が低いということにボクは初めて気づいていたりする。
――なんて個人的な感想はオイトイテ……ボク、何だかおるこちゃんをボクだけのおるこちゃんにしたくなってきちゃったみたいな……
「おるこちゃん、あのさ……」
「え? 秋ちゃん、なぁーに?」
――ボクは河鹿薫子のポニーテールを右手で掴んで強引に下へと引き、彼女の顔を無理矢理に上へ向かせるや否や……
無言のまま彼女の唇にボクの唇を軽く触れさせた。
「秋ちゃん!? あ!! あん……ん……」
河鹿薫子は驚いた様な声を一瞬あげたが、次の瞬間にはボクの唇を歓迎するかのように受けてくれていた。
――うーわ、どうしよう!! まさかキスしちゃうなんて!! ボク的に有り得ないことやらかしちゃってるし!!
そして、唇を触れさせるだけの幼くぎこちないキスが終わると、ボクは河鹿薫子の耳元で静かに呟いた。
「もう、おるこちゃんの本気には負けちゃったから……ボクさ、おるこちゃんがして欲しがってた、あの返事を……昨日の告白の返事をさ、ボク的に解り易くしてみたんだけど……」
「うん、秋ちゃん。とっても解り易くて素敵な返事だし。あたし、嬉しいし……でも、勝ち負けとかじゃないし……」
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