イジメられっ子アイドル

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★  ――うぅーわ!! うぅーわ!! うぅーわぁー!! 何が何だかワカンナイまま退出とかできないってば!! 「ちょっと!! あの!? 教頭せんせ!? 学年主任!? ガンジーせんせ!?」  ――いや、だから、だから、だから……ちゃんと説明してってばさ!!  そして、学年主任はボクから目を反らしつつ、そそくさと引き戸を閉めてしまったのだった。  ――ああ、もう……全然意味ワカンナイし!! 何でボクが生徒会長やんなきゃなんないの? 「いやん、もう! うふふ……あたし、絶対に推薦しちゃう!」 「え? 誰?」  閉じられた生徒指導室の扉を茫然自失と眺めているボクの背後から聞き慣れた声が聴こえたので、ボクは声がした方へ体ごと向きを変えた。 「うふふ……あたし、頼まれても推薦しちゃうし……」  ――あれ? おるこちゃんが、何だか知らないけど、メッチャ嬉しそうにニコニコしながら立ってるし…… 「えへ、あはは……頼まれなくたって推薦しちゃうもん!」  ボクは恐る恐る河鹿薫子へ、 「中での会話、まさか、聴いちゃった?」 と、囁きかけるように訊くと、彼女は、 「うん、まさか、聴いちゃったわ」 なんて、まるで自分の事のように嬉しそうな笑顔で応えてくれる。  そして、おもむろに河鹿薫子はボクの右手を握りしめると、足早にボクを引っ張りつつ、どこかへ向けて強引に歩き出したのだった。 「おるこちゃん、おるこちゃん? どこに行くの?」 「もちろん、ウチのクラスよ」 「え? どうして?」 「決まってるじゃない。みんなが教室で待ってるからよ」 「は? こんな時間だし、もう、みんな帰っちゃって居ないんじゃないの?」 「帰るわけがないじゃないのよ。みんな教室に居残って秋ちゃんを待ってるのよ」 「へ? 待ってる? どうして?」 「秋ちゃんったら、もうイイ加減に自覚してくんなきゃだわ!」 「はい? 自覚って、何を?」  ――なんて会話をしているうちに、ボクたち二人は……  とっくの昔に放課後になり切って、普通なら誰も居ないはずの我が教室、2年2組の教室へと辿り着いてしまったのだった。 ★
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