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「うふふ……秋ちゃん、覚悟してね」
「えっと……え? 覚悟? おるこちゃん? どんな覚悟?」
――おるこちゃんから覚悟とか言われても……全然意味ワカンナイし……
「覚悟はイイ? あたし、教室の扉を開けるわよ」
――だから、覚悟とか言われても……何を覚悟したらイイんだかワカンナイし……
河鹿薫子はボクに満面の笑みを見せつつ、ボクの右手を彼女の左手で握りしめたまま、彼女は右手で教室出入口の引き戸を開けたのだった。
「えぇー!? 何だコリャぁー!?」
――我が教室に入るなりボクの視界へ一番に飛び込んだのは……
黒板の真上に掲げられた、見るからにクラスメイト達の手作りであろうという不器用な横弾幕だった。
――うーわぁ! 『我等がアイドル! 必勝ゲット生徒会選挙!』とか書いてあるし!!
それは横弾幕に書いてある毛筆の大きな文字だったりする。
――我等がアイドル? ウチのクラスでアイドルってったらさ……そりゃ、もちろん、河鹿薫子しか居ないし……
「へえ……おるこちゃんさ、生徒会選挙に出馬するんだね?」
――っていうか、おるこちゃんは全校生徒のアイドルだし……
「いやん、もう、秋ちゃんったら……本当に、イイ加減に自覚してくれなきゃだわ」
――なんて、何が何だか皆目のこと微塵も解らないんだけどさ、おるこちゃんはボクを背後から抱きしめながら嬉しそうに言ってくれちゃってるし……
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