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イジメられっ子アイドル
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「浅間君も知ってのとおり、近々、新しい生徒会役員を選ぶ選挙期間がやって来ます。時分は、新入生は入学をし、浅間君はめでたく2年生に進級をした、とても晴れやかな春の頃合いでありまして……」
――あぁーあ……今、ボクは生徒指導室に居たりして……
「そこでですね、是非とも浅間君には生徒会長を……」
――んで、今会話をしてる相手は教頭せんせだったりして……
「っていうか、教頭先生、アレですね? ウチのクラスの学級委員長を推薦する役目みたいなの、是非ともボクがしなさいということ……ですよね?」
よりによって、『2年2組の浅間秋君、生徒指導室へ大至急来るように』と、教頭先生から校内放送で呼び出されてしまったから厄介な話だ。
――ってかさ、どうしてボクが生徒会長の推薦作業までやんなきゃなんないんだか……
ボクは教頭先生と会話をしているが、教頭の隣には学年主任が居て、その斜め後ろにはウチの担任のガンジーが居たりする。
――そんなのって学級委員の仕事じゃんか。だってさ、まかり間違ってもさ、そんな仕事は部活動なんかじゃないし……
「浅間、お前、生徒会長してみるか?」
――それでなくともさ、学校側から押し付けられてるギャラリーのプロデュースとディレクションで手一杯なのに……
「っていうか……はい?」
「浅間、お前、生徒会長してみないか?」
――はたまた……唐突に、予期せず……
「我がクラス担任から訳の解らない言葉を浴びせられたボクみたいな?」
――えっと……『アサマ、オマエ、セイトカイチョーシテミナイカ?』って聞こえた気がするみたいな……
「っていうか、えぇー!? ガンジーせんせ!?」
「こら! 真面目な話をしている時に俺のことを『ガンジー』なんて呼ぶな!」
教頭と学年主任という上司に当たる人が居る手前、『クラス内で喋っているつもりで呼ぶな』とばかりに、ガンジーは苦笑しながらボクの失言を軽く叱ってくれたのだった。
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